トゥクトゥクに乗って

このご時世、どの業界も景気のいい話しはこぼれ落ちていない。あまたの小市民は毎日必死に働いているのである。そうなると、経済的にも共働きや副業などで補填して養っている家族がマジョリティではないだろうか。小生も齢42歳になり、恥ずかしながら独り身で両親の面倒を見ながら実家で暮らしている。

半年ぐらい前からアルバイトを始めた。少しでも経済的に楽になるならば、普段の休みの1日や2日ぐらいアルバイトで小銭を稼ごうかと思い立ったのである。しかし、40歳も過ぎればアルバイトとといえども試練が待ち受けている。職種にも慎重にならざるおえない。熟考した挙げ句、選んだのは「清掃」の仕事だった。

近所の大型パチンコ店でのゴミの回収、仕分け、あと巡回という内容が求人サイトに記載されていた。面接に行くと私より若いスマートな青年が担当で、一通りの業務説明を話したあと、その場で採用となった。私は安堵の息をつくと同時に、ここ何年も味わっていなかった新しいことにチャレンジする意欲に、少し興奮していた。

実際、仕事自体は単純だった。ゴミ箱からゴミ袋を回収してきて、それを空き缶とガラス瓶に分けていく作業を繰り返すのだ。如何せん、そこはパチンコ屋。マナーの悪さといったら酷いものだ。とんでもないものが捨ててあったり、ゴミが散乱しているのは当たり前で、ギャンブルをする身として反面教師として肝に銘じている。

大型店なので、範囲が広く「トゥクトゥク」という乗り物に乗ってゴミを回収する。いわゆる三輪バイク。ピザ屋の配達とかで見かける屋根付きの電動バイクである。これに乗って駐輪場を巡回するのだが、意外と気晴らしにもなるのだ。この齢でアルバイトでバイクに乗ってゴミを集めたりするとは思わなかったが、職場の同僚たちも悪い人間はおらず、かと言って変に距離を詰めることもない間柄なので、週に1回だけの運動と思えば悪くない。まとまりのない話になってしまったが、とりあえず続けてみようと思っている。