左手は添えるだけ

光陰矢のごとし。炬燵で欠伸をしていたら、早くも1月が終わってしまった。今年は暖冬で例年よりも寒さを凌げている。二十歳の頃から体重は変わっていないが、白髪も増え、老眼で視力も落ちた。身体が動けるあいだに何か取り組まないといけない。

先日、バスケットボールチームの「エベッサ大阪」のスポンサーということで、取引先のお客さんからBリーグのチケットをいただいた。

私は学生の頃にバスケットボール部に在籍していた。とはいえ、選手でもなく、コーチでもなく、マネージャーである。高校、大学と一度もプレーヤーをかじったことはなく、いわゆる「審判」を長らくやっていた。そう、レフリーである。今でこそ3人制だが、当時は主審、副審のみで選手と同じくコートを走り回り、体力と特にメンタルを鍛えられた。今なら即答で断るだろう。

そんな過去もあって、今回、日本最高峰のプロリーグ(しかもタダである)を間近で観戦できるとなれば、嬉々として会場に向かったのである。ただ、厄介なのは会場となる大阪エベッサのホームグラウンド「おおきに舞洲アリーナ」である。交通の便が非常に悪い。特に電車で来場する方はバスの時刻を確認しておくなど、余裕を持って足を運ぶことをおすすめする。交通手段だけ目を瞑れば、施設は十全で会場は広くイベントにはもってこいだと記しておく。

会場に着くと、いまやバスケットも゙市民権を得て、ちびっこからご高齢の夫婦までタオルを振って選手を応援していた。私はひと昔前のバスケットの閑散な会場を目の当たりにしている人間なので、日本のバスケット人気がここまで来たかという感慨が先にたった。

会場の照明演出。華やかなチアリーダーたち。盛り上げるDJ。御当地の人気フード。それは子どもの頃に見ていたNBAに負けず劣らず、ファンとの距離感を意識したすばらしいものだった。

試合も゙また、今や日本のバスケット会を牽引する富樫選手が所属する千葉ジェッツが対戦相手でもあり、ホットドック片手にその想像の斜め上をいくスーパープレーに会場からは感嘆の声が漏れていた。試合終了後、長蛇のバスの列に並びながら、いろんな思いを馳せていた。2月の夜空は透き通り、大阪では珍しく星々が燦々と輝いていた。感化されて明日から身体を鍛えるかと誓っても、すぐに挫折するんだろうなと、私は苦笑いしながら寒さで震える身体に活を入れていた。